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乳歯が抜けない7つの原因と受診の目安|「待っていいケース」と「待ってはいけないケース」を分ける3つのサイン

乳歯が抜けない7つの原因と受診の目安|「待っていいケース」と「待ってはいけないケース」を分ける3つのサイン

「もう7歳になるのに、下の前歯が1本も抜ける気配がありません」

「グラグラしているのに、もう半年もそのままなんです。抜いてあげたほうがいいのでしょうか」

お子様の生え変わりについて、こうしたご相談を毎日のようにいただきます。「うちの子だけ遅れているのでは」と不安になるお気持ちは、とてもよくわかります。

まずお伝えしたいのは、生え変わりの時期には1年半ほどの幅があり、「遅い」こと自体は珍しくないということです。一方で、日本小児歯科学会の全国調査では10人に1人にあたる10.09%のお子様に永久歯の先天性欠如が認められており、口の中を見ただけではわからない原因が隠れていることもあります。

・「様子を見ましょう」と言われましたが、いつまで待てばよいのでしょうか
・乳歯が抜けないのに永久歯が内側から生えてきました。このままで歯並びは大丈夫でしょうか
・乳歯を抜いてしまえば、永久歯はまっすぐ生えてくるのでしょうか

このコラムでは、神戸市垂水区の垂水さだまさ歯科・矯正歯科 院長・定政克典(顎咬合学会認定医)が、乳歯が抜けない原因と、待ってよい状態とそうでない状態を見分ける方法を、根拠となる研究とあわせてご説明します。

目次

乳歯が抜けないのは珍しいことではありません

乳歯が抜けないのは珍しいことではありません

「同じクラスの子はもう何本も抜けているのに、うちの子はまだ1本も抜けていない」

保護者の方が不安を感じるきっかけは、多くの場合こうした比較です。しかし、生え変わりの進み具合は、お子様によって本当に大きく違います。

ここではまず、生え変わりの時期にどれくらいの幅があるのかを具体的な数字で確認し、そのうえで「何歳まで待ってよいのか」という質問に年齢だけでは答えられない理由をご説明します。判断の基準になるのは、生まれてからの年数ではなく、お子様の歯がどこまで育っているかという成熟の度合いです。

生え変わりの時期には1年半以上の幅があります

日本小児歯科学会が4歳0か月から18歳11か月までの小児30,825人を対象に行った萌出時期の全国調査では、永久歯が生えてくる時期は次のように報告されています。男の子の場合、下の前歯(下顎中切歯)は5歳6か月から7歳0か月、6歳臼歯(下顎第一大臼歯)は5歳10か月から7歳6か月、上の前歯(上顎中切歯)は6歳6か月から7歳10か月、その隣の歯(上顎側切歯)は7歳6か月から9歳2か月です。

つまり、同じ1本の歯であっても、早いお子様と遅いお子様では1年半前後の差があるのが標準的な範囲だということです。犬歯や小臼歯にいたっては、9歳から13歳頃までの幅で生え変わっていきます。お子様が同級生より半年から1年ほど遅れていたとしても、それだけで異常と判断することはできません。

「何歳まで様子を見ていいですか」に年齢だけでは答えられない理由

診療の中で最も多くいただく質問が、この「何歳まで待てばいいですか」というものです。ところが、この質問に年齢だけでお答えするのは、実はとても難しいのです。

なぜなら、同じ7歳のお子様でも、次に生えてくる永久歯が骨の中でどこまで育っているかはまったく違うからです。すでに歯の根が3分の2以上でき上がっていて、あと数か月で出てくる準備が整っているお子様もいれば、まだ根が半分程度しかできていないお子様もいます。前者と後者では、同じ「7歳で抜けていない」でも意味がまったく異なります。

「7歳を過ぎたら受診しましょう」といった年齢の目安は、確かにわかりやすい基準です。しかし当院では、年齢ではなく、レントゲンで確認できる3つのサインを組み合わせて判断しています。この3つについては、記事の中ほどで詳しくご説明します。

年齢ではなく「歯がどこまで育っているか」で見ると判断できます

歯科では、生まれてからの年数とは別に、歯そのものがどの段階まで育っているかという見方をします。永久歯は、歯の根が3分の2から4分の3ほどでき上がった段階で、歯ぐきから顔を出しはじめるという発育のきまりがあるためです。

この見方をすると、「あと何か月くらいで出てきそうか」をレントゲンからある程度予測できます。「まだ根が半分しかできていないので、あと1年ほどは待って大丈夫ですね」といった具体的なお話ができるのです。「いつまで待てばいいのかわからないまま様子を見る」という、保護者の方にとって最もつらい状態を避けられることが、検査を受けていただく大きな意味だと考えています。

では、そもそも乳歯はどのような仕組みで抜けるのでしょうか。ここを知っていただくと、後半の「抜くべきか待つべきか」の話がぐっとわかりやすくなります。

そもそも乳歯はなぜ抜けるのか?「永久歯が押し上げて抜ける」って本当?

そもそも乳歯はなぜ抜けるのか?「永久歯が押し上げて抜ける」って本当?

乳歯の生え変わりについて、「下から生えてくる永久歯に押されて、乳歯の根が溶けて抜ける」という説明を目にされたことがあるかもしれません。イメージとしてはわかりやすいのですが、実際に体の中で起きていることとは少し違います。

骨の中で育っている永久歯は、歯小嚢(ししょうのう)という薄い膜にすっぽりと包まれています。この膜が、骨を溶かす細胞(破骨細胞)と、乳歯の根を溶かす細胞(破歯細胞)を周囲に呼び寄せ、永久歯が通っていくための道を先につくっていきます。乳歯の根が少しずつ短くなり、やがてグラグラしはじめるのは、この呼び寄せられた細胞のはたらきによるものです。永久歯が物理的に下から押し上げているわけではありません。

この仕組みからは、生え変わりを考えるうえでとても大切な2つのことがわかります。

ひとつめは、永久歯の側から「道をつくりなさい」という指令が出ていなければ、乳歯の根は溶けないということです。永久歯がそもそもつくられていない場合や、育ちがゆっくりな場合、あるいは乳歯の根の真下ではなく離れた場所を通ろうとしている場合には、乳歯の根はいつまでも長いまま残ります。「乳歯が抜けない」という現象は、乳歯そのものに問題があるというより、その下で何が起きているかを映し出しているサインなのです。

ふたつめは、乳歯を抜いたからといって、永久歯が必ずまっすぐ生えてくるとは限らないということです。永久歯がどの方向に出てくるかは、もともとの歯の卵の位置と、並ぶための場所が足りているかどうかで決まります。乳歯という「ふた」を取り除くだけで向きが変わるわけではありません。ですから、抜くという判断は、その下で何が起きているかを確かめてから行う必要があります。

「乳歯が抜けないのですが、抜いてもらったほうがいいですか」というご質問に、当院が必ずレントゲンでの確認をご提案するのは、こうした理由からです。

乳歯が抜けない7つの原因:レントゲン検査が重要な理由

乳歯が抜けない7つの原因:レントゲン検査が重要な理由

前述したとおり、乳歯が抜けないときには必ず理由があります。ここでは、実際に当院で確認している原因を7つに分けてご説明します。

先にお伝えしておくと、このうち4つ以上は、お口の中を見ただけでは判断できません。永久歯がそもそも存在しているのか、どの方向を向いているのか、通り道に何かがあるのかは、レントゲンではじめてわかることだからです。「一度レントゲンを撮ってみましょう」とお伝えするのは、心配を煽るためではなく、待ってよいかどうかを確かめるためです。

原因①永久歯がまだ育ちきっていない(最も多く、最も心配のいらないケース)

最も多く、そして多くの場合は時間が解決してくれる原因です。永久歯は歯の根が3分の2から4分の3ほどでき上がった段階で生えはじめます。その形成が同級生よりゆっくりなお子様は、その分だけ生え変わりも遅くなります。

身長の伸び方や体の成長がゆっくりなお子様に多く見られる傾向があります。レントゲンで歯の根の形成段階を確認すれば、「まだ準備の途中ですね」と判断でき、おおよその見通しをお伝えできます。「遅いこと」そのものよりも、遅い理由がこれなのかどうかを確かめることが大切です。

原因②永久歯がもともとつくられていない(先天性欠如)

生まれつき永久歯の卵がつくられていない状態です。日本小児歯科学会が7歳以上のお子様15,544人を対象に行った全国調査では、親知らずを除く永久歯の先天性欠如の頻度は10.09%(男子9.13%、女子10.98%)と報告されました。10人に1人という割合で、決して特別な状態ではありません。

欠如しやすい場所には傾向があり、下の奥から2番目の小臼歯(下顎第二小臼歯)と、下の前から2番目の歯(下顎側切歯)に多く、次いで上の第二小臼歯、上の側切歯の順に見られます。後継の永久歯がなければ、前述した「道をつくりなさい」という指令が出ないため、乳歯の根は溶けず、そのまま残り続けます。

乳歯に「癒合歯」があるお子様は特に確認しておきたいところです

2本の乳歯がくっついて1本のように生えている状態を癒合歯(ゆごうし)といい、下の前歯によく見られます。見た目には「少し大きくて、真ん中に溝がある歯」として気づかれることが多い状態です。

癒合歯があるお子様では、その下の永久歯が先天的に欠如している可能性が高くなることが知られています。生え変わりが始まる5〜6歳頃に一度レントゲンで確認しておくと、その後の生え変わりの見通しが立てやすくなります。

4歳の誕生日までに乳歯20本が揃わなかった場合

乳歯は通常、2歳半頃までに20本が生え揃います。前後半年ほどの誤差は自然な範囲ですが、4歳を過ぎても20本揃っていない場合は、乳歯自体の先天性欠如や癒合歯が隠れている可能性があります。先ほどの全国調査では、乳歯の先天性欠如は0.5%のお子様に認められています。

生え変わりのトラブルは、実は乳歯が生え揃う時期にすでにサインが出ていることが少なくありません。小さいうちからお口の状態を把握しておくことが、後になって慌てないための備えになります。

原因③永久歯の生える向きや位置がずれている

永久歯の萌出遅延を主訴に来院した小児を対象とした調査では、遅れが最も多く見られたのは上の前歯(上顎中切歯)で、次いで犬歯、側切歯の順でした。その原因として最も多かったのが、永久歯の卵そのものの位置の異常です。

永久歯が乳歯の根の真下を通らず、少し離れた場所を進もうとすると、乳歯の根に十分な「溶かしなさい」という指令が届きません。その結果、乳歯はしっかりした根を保ったまま残り、永久歯は別の場所から顔を出すことになります。下の前歯が乳歯の内側から生えてくる、いわゆる二重歯列も、この仕組みで起こります。

原因④永久歯の通り道に余分な歯がある(過剰歯)

本来の歯とは別に、余分な歯がつくられていることがあります。特に上の前歯の真ん中付近にできる正中過剰歯は、永久歯が生えてくる道を物理的にさえぎる代表的な原因です。男の子に3〜5倍ほど多いとされ、逆さ向きに埋まっていることもあります。

過剰歯は歯ぐきの中に埋まっていることがほとんどで、お口の中を見ただけではまず気づけません。「下の前歯はどんどん生え変わっているのに、上の前歯だけがなかなか出てこない」という場合には、確認しておきたい原因のひとつです。

原因⑤乳歯の根が骨とくっついている(骨性癒着・低位乳歯)

乳歯の根と周囲の骨が直接くっついてしまい、根が溶ける仕組みが働かなくなっている状態です。奥歯(乳臼歯)に多く見られ、周りの歯が成長して伸びていくのに対し、その歯だけが取り残されるように一段低く沈んで見えるのが特徴です。

見た目には「その歯だけ噛み合っていない」「食べ物が挟まりやすい」といった形で気づかれることがあります。放っておくと、隣の永久歯がその隙間に向かって傾いてきて、将来その場所に生えるはずの歯のスペースが失われてしまいます。経過を見る場合も、いつまで見るかという期限を決めて確認していく必要があります。

原因⑥奥歯特有の原因|6歳臼歯が乳歯に引っかかっている(異所萌出)

意外に知られていないのが、この原因です。上の6歳臼歯(第一大臼歯)は、本来なら手前にある第二乳臼歯の後ろ側の面に沿って生えてきます。ところが上顎が小さかったり成長が遅れていたりすると、第二乳臼歯の後ろの根を削るように出てきて、途中で引っかかって止まってしまうことがあります。

この状態は異所萌出と呼ばれ、発生頻度は2〜3%とされています。上顎の成長にともなって最終的には自力で乳歯を乗り越えて出てくる「ジャンプ型」と、乳歯を抜かなければ出てこられない「ホールド型」に分けられ、ジャンプ型のほうが多いと報告されています。「奥歯の乳歯が抜けない」「6歳臼歯が半分しか出てこない」というご相談の正体が、これであることは少なくありません。どちらの型かはレントゲンで経過を追って判断していきます。

原因⑦生えるためのスペースが足りない(顎の幅の不足)

永久歯は乳歯よりも一回り大きい歯です。顎の幅が足りていないと、永久歯は並ぶ場所を見つけられず、骨の中で待機したり、通り道を変えて別の方向から出てこようとしたりします。

この場合、「乳歯が抜けない」のは乳歯の問題ではなく、顎の成長の問題です。そして7つの原因の中で唯一、根本的な対応ができる時期が限られている原因でもあります。顎の骨を土台から広げられるのは成長期だけだからです。この点については、記事の後半で詳しくご説明します。

乳歯が抜けるのを「待っていいケース」と「待ってはいけないケース」を見分ける3つのサイン

乳歯が抜けるのを「待っていいケース」と「待ってはいけないケース」を見分ける3つのサイン

ここまで7つの原因をご説明してきましたが、保護者の方が本当に知りたいのは「うちの子の場合は、待っていいのか、それとも今動いたほうがいいのか」という一点だと思います。

「7歳を過ぎたら」「1年たっても変化がなければ」といった年齢や期間の目安は確かにわかりやすいのですが、実際の診断では年齢を基準にしていません。当院が見ているのは、永久歯の根がどこまでできているか、乳歯の根が溶けはじめているか、そして生えるための場所が足りているかという3つのサインです。この3つを順にご説明します。歯科医院で説明を受けるときにも、この3点を意識して聞いていただくと理解しやすくなるはずです。

サイン1|永久歯の根がどこまでできているか

永久歯は、歯の根が3分の2から4分の3ほど完成した段階で生えはじめます。ですから、レントゲンで永久歯の根がまだ半分程度しかできていなければ、それは「まだ生える準備が整っていない」ということであり、待つのが正しい対応になります。

反対に、根がすでに4分の3以上でき上がっているのに出てこられていない場合は、通り道のほうに何か問題がある可能性が高くなります。過剰歯があるのか、向きがずれているのか、場所が足りないのか。同じ「生えてこない」でも、この1点を確認するだけで意味が正反対になります。

サイン2|乳歯の根が溶けはじめているか

永久歯の側から「道をつくりなさい」という指令が出ていれば、乳歯の根は少しずつ短くなっていきます。レントゲンで乳歯の根が明らかに短くなっていれば、生え変わりは進行中ということですから、多少時間がかかっていても大きな心配はいりません。グラグラしはじめるのは、この吸収がかなり進んだあとです。

一方、年齢相応の時期を過ぎているのに乳歯の根が長いまま残っている場合は、後継の永久歯がない、位置が離れている、あるいは根が骨とくっついているといった可能性を考える必要があります。「グラグラしないまま何年も経っている」という状態は、待っているだけでは変わらないことが多いのです。

サイン3|生えるためのすき間が足りているか

ここで、多くの保護者の方が意外に感じられることをお伝えします。前歯が生え変わる6〜8歳頃、乳歯の歯と歯のあいだにすき間が空いていることは、まったく異常ではありません。むしろ望ましい状態です。

乳歯はもともと小さく、そのあとに生えてくる永久歯は一回り大きいため、すき間がある歯列のほうが永久歯を受け入れる余裕があります。反対に、乳歯がぴったりと隙間なく並んでいる歯列は、永久歯が並ぶ場所が足りなくなるサインです。

「うちの子は乳歯の歯並びがきれいだから安心」と思っていたら、生え変わりとともに重なりが出てきた、というご相談は、実は少なくありません。

「抜けない」の背景にこのスペース不足があるかどうかは、その後の治療方針を大きく左右します。

3つのサインを確認するために必要な検査

ここまでの3つは、いずれもお口全体を1枚に写すレントゲン(パノラマ写真)を撮れば、同時に確認できます。日本臨床矯正歯科医会も、永久歯の先天性欠如の有無を確かめるために、7歳までに一度パノラマ写真で確認しておくことを提案しています。

当院では初診時に、レントゲン撮影、口腔内写真の撮影、歯周病検査、唾液検査の4つを行い、生え変わりの状況とあわせてお口全体の状態を確認しています。「抜けないこと」だけを見るのではなく、むし歯のリスクや歯ぐきの状態、顎の幅までを含めて把握することで、そのお子様にとって今必要なことが見えてきます。

年齢別に見る「乳歯が抜けない」の考え方

年齢別に見る「乳歯が抜けない」の考え方

ここからは、実際にご相談の多い年齢と部位ごとに、どう考えればよいかをご説明します。同じ「抜けない」でも、6歳の前歯と10歳の奥歯では、注意すべき点がまったく違うためです。

お子様の年齢に近いところから読んでいただいても構いません。全体を通してお読みいただくと、これから先どのような順番で生え変わりが進んでいくのかも見えてきます。

6〜7歳|下の前歯が抜けない・生えてこない

下の前歯は、生え変わりの一番手として最も早く交代する歯です。おおよそ5歳半から7歳頃が目安ですが、前述のとおり1年半ほどの幅があります。

7歳を過ぎても揺れる気配がまったくない場合は、一度確認しておきたいところです。ただしこの年齢では、単に永久歯の根の形成がゆっくりというケースが大半で、慌てる必要はありません。身長の伸びや他の発育がゆっくりなお子様では、生え変わりもそれに合わせてゆっくり進むことがよくあります。「うちの子だけ遅い」と感じたときこそ、比較ではなく検査で確かめることが安心につながります。

7〜8歳|乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきた(二重歯列)

いわゆる「二枚歯」「サメの歯」と呼ばれる状態です。乳歯が残っているすぐ内側から、永久歯が顔を出してきます。はじめてご覧になった保護者の方はかなり驚かれますが、下の前歯に関しては比較的よくある経過です。

この場合、乳歯が抜けさえすれば、生えてきた永久歯は舌に押されて少しずつ前方へ移動し、自然に整っていくことが多くあります。ただし、乳歯の根が溶けておらずしっかりしている場合や、数週間経っても乳歯にまったく動揺が出てこない場合は、抜歯を検討する目安になります。永久歯が内側に位置したまま周囲の骨が固まってしまうと、あとから自然に前へ出てくる余地が小さくなるためです。

内側から生えた場合と、外側から生えた場合では意味が違います

下の前歯が乳歯の内側(舌側)から生えてくるのは、上でご説明したとおり比較的よくある経過で、多くは自然に整っていきます。

一方、上の前歯が外側(唇側)から生えてくる場合や、犬歯が歯ぐきの高い位置から出てくる場合は、意味合いが異なります。これらは、本来並ぶべき場所に余裕がなく、歯列から押し出されるように出てきているサインであることが多いためです。「内側だから大丈夫」「外側だから危ない」と単純化はできませんが、どの歯がどちらから出てきているかは、スペースが足りているかどうかを知る手がかりになります。

舌の位置が、二重歯列のその後を左右します

内側から生えてきた永久歯を前方へ押し出してくれるのは、実は舌の力です。ですから「乳歯が抜ければ自然に整う」という説明には、舌が正しい位置で働いているという前提があります。

舌が下あごのほうへ落ちている低位舌のお子様や、口がいつもポカンと開いて口呼吸になっているお子様では、この自然な改善が起こりにくくなります。歯を内側から支える力が弱いまま、外側からは唇や頬の力がかかり続けるため、歯列が内側に倒れ込んでいくこともあります。

舌の位置については別のコラムで詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。>>舌の正しい位置とお子様の将来への影響について詳しくはこちら

9〜12歳|奥歯の乳歯(乳犬歯・乳臼歯)が抜けない

犬歯と小臼歯は、おおよそ9歳から13歳頃にかけて生え変わります。この時期の「抜けない」は、前歯の時期よりも慎重に見ていく必要があります。

特に注意したいのが、上の乳犬歯がいつまでも残っているケースです。永久犬歯は、生えてくるまでの道のりが最も長く、骨の中で長い距離を移動してくる歯です。そのため途中で進む方向を外し、歯ぐきの内側(口蓋側)に入り込んだまま埋まってしまうことがあります。また、下の第二乳臼歯は先天性欠如が最も多い場所の乳歯にあたるため、この時期にレントゲンで後継歯の有無を確認しておく価値は特に高いといえます。

中学生・高校生で乳歯が残っている

この年齢まで残っている乳歯については、後継の永久歯がもともとつくられていないか、骨の中に埋まったままになっている可能性が高くなります。

現時点で問題なく噛めていても、乳歯は永久歯にくらべて根が短く、エナメル質も薄く、大人の噛む力を長く受け止め続けるようにはできていません。だからといってすぐに抜くべきということではなく、長く使っていくための計画が必要だということです。そして、矯正治療でスペースを閉じるという選択肢は、顎の成長が残っているうちのほうが取りやすくなります。「まだ噛めているから」と先送りにするほど、選べる方法は少なくなっていきます。

大人になっても乳歯が残っている(大人乳歯)

成人してもなお残っている乳歯を「大人乳歯」と呼ぶことがあります。20年、30年と機能し続けるケースもある一方で、少しずつ沈み込んで周りの歯との高さが合わなくなったり、根が短いために揺れが出てきたりすることもあります。

大切なのは、「抜けないなら放っておいてよい」でも「見つけたらすぐ抜くべき」でもないということです。今どういう状態にあるのかを定期的に確認しながら、使えるあいだは大切に使い、限界が来る前に次の手を考えておく。当院が掲げている「天然の歯を1本でも多く残す」という考え方は、大人乳歯についても同じです。

大人乳歯を長く使えるかどうかを決めるもの

見通しを左右するのは、大きく4つです。乳歯の根がどれくらい残っているか、周囲の骨がしっかりしているか、噛む力がその歯に強くかかっていないか、そして隣の歯が倒れ込んできていないかです。

これらはレントゲンと噛み合わせの確認でわかります。「いつか抜けるかもしれない歯」として不安を抱えたまま過ごすのではなく、今どの段階にあるのかを知っておくことで、心づもりができます。

成長期のうちに決めておきたい2つの分かれ道

永久歯が生まれつきない場合、将来の方針は大きく2つに分かれます。ひとつは、矯正治療で歯を動かして空いた場所を閉じ、自分の歯だけで噛み合わせをつくっていく道。もうひとつは、乳歯をできるだけ長く使い、使えなくなった段階で人工の歯で補う道です。

前者は、顎の成長が残っている時期のほうが選びやすくなります。歯を動かせる余地が大きく、骨も反応しやすいためです。逆に成人してからでは、選択肢が後者に寄っていきます。どちらが正しいということではありませんが、選べる時期に選んでおけることには大きな意味があります。なお、6歯以上の先天性部分無歯症と診断された場合には、公的医療保険が適用される場合があります。ただし施設基準の届出を行った医療機関に限られますので、該当が疑われる場合は、連携先のご案内を含めて一度ご相談ください。

乳歯がグラグラしているのに抜けないとき、ご家庭でどうすればよいか

乳歯がグラグラしているのに抜けないとき、ご家庭でどうすればよいか

保護者の方が最も迷われるのが、この場面ではないでしょうか。

「抜いてあげたほうがいいのか、それとも触らないほうがいいのか」お子様が痛がる姿を見ると、余計に判断がつかなくなります。

ここでは、待ってよい状態、ご家庭で対応できる条件、そして避けていただきたい対応について、できるだけ具体的にご説明します。あわせて「歯並びのために乳歯を抜いたほうがいい」という話をどう受け止めればよいかについても触れます。

「抜けそうで抜けない」が数か月続くとき

まずご安心いただきたいのは、歯が揺れているということ自体が、乳歯の根が溶けている証拠だということです。生え変わりは順調に進んでいます。多くの場合は、食事や歯みがきのなかで自然に抜けていきますので、待っていただいて構いません。

ただし、半年以上ほとんど変化がない、食事のときに痛がって噛めない、歯ぐきが赤く腫れている、出血が続いているといった場合は、一度ご相談ください。根の一部だけが吸収されずに残っていることや、歯ぐきに炎症が起きていることがあります。「抜けそうで抜けない」状態が長引くと、その部分を避けて噛む習慣がつき、片側だけで噛むくせにつながることもあります。

ご家庭で抜いてよい条件と、やめておいたほうがよい条件

指で軽く触れただけで大きく揺れ、お子様が痛みを訴えず、歯ぐきが赤く腫れていない。この3つが揃っていれば、清潔なガーゼで軽くつまんで外していただいても差し支えないことが多いです。抜けたあとは、清潔なガーゼを軽く噛ませて数分待てば、出血は落ち着きます。

反対に、揺れが小さい、動かすと痛がる、歯ぐきから出血が続いている、永久歯がまだ見えていない、といった場合は触らないでください。糸を結んで引っ張る方法もよく知られていますが、力の向きや強さを調整できないため、当院ではおすすめしていません。

無理に抜こうとすると起こること

まだ根がしっかり残っている乳歯を無理に引き抜こうとすると、根の一部が折れて歯ぐきの中に残ってしまうことがあります。残った根は、そのあと生えてくる永久歯の進む方向に影響することがありますし、感染の原因になることもあります。

また、歯ぐきが裂けて出血が長引いたり、痛みの記憶がお子様に強く残ったりすることも避けたい点です。「歯を抜くのは痛くて怖いこと」という印象がついてしまうと、その後の歯科受診そのものが難しくなってしまいます。判断に迷われたときは、抜かずにご相談いただくほうが安全です。

「歯並びのために乳歯を抜く」は正しいのでしょうか

「永久歯が並ぶ場所をつくるために、乳歯を早めに抜いておきましょう」

そう説明されて迷われる方もいらっしゃいます。この点については、乳歯が持っているもうひとつの役割を知っておいていただきたいと思います。

乳歯には、後継の永久歯が生えてくるまで、その場所を確保しておくという大切な役割があります。特に乳犬歯から第二乳臼歯までの3本分の幅は、そのあとに生えてくる永久歯3本分の幅よりも大きく、この差が奥歯の位置を保つための余裕になっています。理由なく乳歯を早く失うと、後ろの6歳臼歯が前方へ寄ってきてこの余裕が失われ、かえって永久歯の並ぶ場所が減ってしまうことがあります。

ですから、抜歯が有効な場面は確かにありますが、それは「どの歯を、いつ抜くと、どこにどれだけの影響が出るか」を検査で確かめたうえでの判断です。むし歯などでやむを得ず乳歯を早く失った場合には、その場所を保つための保隙(ほげき)装置を入れることもあります。抜くことそのものよりも、抜いたあとの設計があるかどうかが分かれ目になります。

装置を使った小児矯正で後悔しないための考え方については、こちらのコラムでも詳しくご説明しています。>>子供の床矯正で後悔しないために|「やり直せる後悔」と「やり直せない後悔」の分かれ目

乳歯が抜けないまま放置するとどうなるか

乳歯が抜けないまま放置するとどうなるか

「このまま様子を見ていたら、どうなってしまうのでしょうか」というご質問にお答えします。ここで大切なのは、起こりうる影響には、あとから取り返せるものと、取り返しにくいものがあるということです。

すべてを同じ重さで心配する必要はありません。どこに気をつけておけばよいかがわかれば、必要以上に不安を抱えずに済みます。

一時的に起こってしまう問題

乳歯と永久歯が一時的に2列に並ぶことによる見た目、歯が重なった部分の磨きにくさ、食べにくさなどは、原因が解決すれば戻せる範囲です。二重歯列そのものが将来の歯並びを決めてしまうわけではありません。

ただし、歯が重なっている期間は磨き残しが増え、むし歯のリスクが上がります。とくに生えたての永久歯はエナメル質がまだ未成熟で、むし歯になりやすい状態です。この時期の予防管理は、見た目の問題以上に大切だと考えています。

取り返しにくい悪影響①永久歯の位置が固まってしまう

生えてきたばかりの永久歯は、周囲の骨がまだ柔らかく、舌や唇の力で位置が変わる余地があります。ところが歯の根が完成し、周りの骨が固まってくると、自然に位置が改善する余地は小さくなっていきます。

「そのうち自然に前へ出てくるだろう」と待っているうちに、動くはずだった時期を過ぎてしまう。これが、二重歯列を長く放置したときに起こりうることです。待つという判断そのものが悪いのではなく、いつまで待つかを決めずに待ってしまうことが問題になります。

取り返しにくい影響②隣の永久歯の根が溶かされる

最も注意していただきたいのがこれです。骨の中に埋まったままの永久犬歯が、隣の側切歯や中切歯の根に接触し、その根を溶かしてしまう症例が報告されています。歯の根の半分以上が失われ、動揺が出てはじめて気づかれることもあります。

この歯根吸収は、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進みます。乳犬歯がいつまでも残っている場合にレントゲンでの確認をお願いする、最も重い理由がここにあります。早い段階で気づければ、残っている乳犬歯を抜くだけで永久犬歯が正しい方向へ向きを変え、自然に生えてくることも少なくありません。

取り返しにくい影響③顎を広げられる時期を逃す

「抜けない」の背景にスペース不足がある場合、最も取り返しにくいのは、顎の骨を土台から広げられる時期そのものです。上顎の中央には正中口蓋縫合というつなぎ目があり、ここが閉じる前であれば、骨格として上顎を左右に広げることができます。

この時期を過ぎると、骨格そのものを広げることは難しくなり、成人後は外科的な処置が選択肢に入ってきます。歯並びは大人になってからでも整えられますが、土台となる顎の大きさを変えられる時間は戻ってきません。「様子を見ましょう」を繰り返しているうちに、最も負担の少ない方法が選べなくなってしまうことが、放置の本当のリスクだと考えています。

乳歯が抜けない原因が“顎の狭さ”であるとき|顎を広げる治療を行えます

乳歯が抜けない原因が“顎の狭さ”であるとき|顎を広げる治療を行えます

ここまでお読みいただいた方には、「乳歯が抜けない」という現象が、その下で起きていることを映し出すサインであることが伝わったかと思います。そしてその背景に顎の幅の不足があるとき、乳歯を抜くことは根本的な解決にはなりません。

必要なのは、生えてくる場所そのものを増やすことです。ここでは、顎を広げることが永久歯の生え方をどう変えるのかを、研究で示されている数字とあわせてご説明します。

狭い顎では、永久歯は生える場所を見つけられません

現代の日本人は、食生活や生活環境の変化によって顎が小さくなる傾向にあるといわれています。やわらかいものが中心の食事、口呼吸による舌の位置の低下などが重なり、上顎が本来の幅まで育ちきらないお子様が増えています。

上顎の幅が足りないと、影響を最も受けるのは、生えてくる順番が遅い歯です。犬歯や第二小臼歯は、前歯や6歳臼歯が場所を取ったあとに残ったスペースへ入ってこなければならないため、余裕がなければ行き場を失い、骨の中にとどまったり、歯列の外側へ押し出されたりします。先にご説明した原因⑦は、こうして起こります。

顎を広げると、埋まりかけていた永久歯が自然に生えてくるという研究

この点について、興味深い研究があります。生え変わりの初期にあたる7歳6か月から9歳6か月のお子様60人を対象に行われた無作為化比較試験です。対象となったのは、レントゲンで永久犬歯が内側(口蓋側)へずれていることが確認されたお子様たちでした。

このお子様たちを、急速拡大装置で上顎を広げるグループと、何もせずに経過を見るグループに分けて追跡したところ、犬歯が自然に生えてきた割合は、拡大したグループで65.7%、何もしなかったグループでは13.6%でした。差は統計的にも明らかなものでした。また別の研究では、残っている乳犬歯を抜くという処置だけでも、約78%の永久犬歯が自然に生えてきたと報告されています。

これらの数字が示しているのは、「生えてこない歯を引っ張り出す」前に、生えるための道を広げるという選択肢があるということです。埋まってしまった永久歯を外科的に露出させて牽引する治療は、お子様の負担も費用も大きくなります。その手前で手を打てるかどうかは、生え変わりの初期に状態を確認できているかにかかっています。

拡大は「歯を並べる」ためだけの治療ではありません

顎を広げる治療というと、ガタガタの歯を並べるためのものというイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし実際には、これから生えてくる永久歯のために通り道をつくる治療でもあります。すでに並んでいる歯を動かすのではなく、これから起こることを変える治療だという点が、成長期ならではの特徴です。

さらに、上顎を広げることは鼻の通り道を広げることにもつながります。鼻の通りがよくなると、口呼吸から鼻呼吸へ移行しやすくなり、舌が本来の位置に収まりやすくなります。舌が上顎に収まれば、内側から歯列を支える力が働き、歯並びにとってもよい循環が生まれます。歯並びだけでなく、いびきや姿勢、集中力といった面に良い変化が見られることがあるのは、こうした背景があるためです。

顎顔面矯正という選択肢

当院が小児矯正の第一選択としているのが、顎顔面矯正です。上顎の正中口蓋縫合が閉じる前の時期に、歯ではなく骨格そのものにはたらきかけ、歯を抜かず、骨を削らず、お子様が本来持っている成長する力を使って土台から整えていく治療です。

開始に適した年齢は6〜8歳頃とされています。この時期は、まさに前歯の生え変わりが始まり、「乳歯が抜けない」「変なところから生えてきた」といったトラブルが表面に出てくる時期と重なります。生え変わりの心配ごとをきっかけに受診されたお子様が、実は顎を広げる最適な時期に来ていたということは、決して珍しくありません。

>>小児矯正(顎顔面矯正)の詳細はこちら

実際にどのような変化が起こるのかは、症例をご覧いただくとイメージしやすいかと思います。>>小児矯正の症例一覧はこちら

垂水さだまさ歯科・矯正歯科の考え方|抜くか待つかを決める前にすること

垂水さだまさ歯科・矯正歯科の考え方|抜くか待つかを決める前にすること

ここまでの内容を踏まえて、当院が生え変わりのご相談にどのように向き合っているかをお伝えします。

はじめにお断りしておくと、「乳歯を抜くことがよくない」と申し上げたいわけではありません。抜くことが最善の場面は確かにあります。当院が大切にしているのは、抜くか待つかを決める前に、その下で何が起きているのかを確かめるという順番です。

まず、待ってよい状態かどうかを検査で確かめます

初診時には、レントゲン撮影、口腔内写真の撮影、歯周病検査、唾液検査の4つを行います。そのうえで、記事の中ほどでご説明した3つのサイン(永久歯の根がどこまでできているか、乳歯の根が溶けはじめているか、生えるためのすき間が足りているか)を確認します。

待ってよいと判断した場合には、「いつまで待つか」を必ずお伝えするようにしています。「様子を見ましょう」で終わってしまうと、保護者の方は次にいつ確認すればよいのかわからないまま不安を抱えることになりますし、気づいたときには動ける時期を過ぎていたという事態にもなりかねません。期限を決めて確認していくことが、放置との違いだと考えています。

院長が一人ひとりに合わせて製作する急速拡大装置

顎を広げる治療が必要と判断した場合、当院では院長が患者様お一人おひとりに合わせて急速拡大装置を製作しています。お口の形は本当に人それぞれで、既製の設計をそのまま当てはめるよりも、その子の歯列と上顎の形に合わせて作るほうが装置の適合がよく、装着したときの違和感も抑えられます。

また、当院では取り外し式ではなく固定式の装置を第一選択としています。取り外しができる装置は、実際に何時間装着できたかによって結果が大きく左右されます。装着時間が足りなければ効果は出ませんが、それはお子様の努力の問題ではなく、装置の仕組みそのものに含まれているリスクです。固定式であれば、装着時間をお子様やご家族の負担に委ねずに済みます。院長は顎咬合学会認定医(咬み合わせの認定医)として、前歯の見た目だけでなく、奥歯を含めた噛み合わせ全体から装置を設計しています。

年齢に応じた治療の道すじ

当院では、お子様の年齢と状態に応じて治療の進め方を変えています。3歳頃からの反対咬合にはムーシールド、6〜8歳頃は急速拡大装置による顎顔面矯正が中心です。9歳頃からは、顎を広げたあとの仕上げとしてインビザラインファーストを組み合わせることが多くなります。

10歳を過ぎると顎の骨は広がりにくくなってきますが、当院ではインプラントアンカーを併用して拡大する力を確保する方法を取り入れています。これにより、将来的に骨を切る外科的な矯正を避けられる可能性を高めています。「広げて終わり」ではなく、どこを最終的なゴールに置くかまで含めて設計することを大切にしています。

>>インビザラインファーストの詳細はこちら

なお、下の前歯が内側に倒れているように見える場合は、上顎の成長不足が背景にあることがあります。>>下の歯が内側に倒れている?それは上顎の成長不足のサインかもしれません

生え変わりの時期は、むし歯のリスクが上がる時期でもあります

見落とされがちですが、生え変わりの時期はお口の中が最も複雑になる時期です。生えたての永久歯はエナメル質がまだ十分に成熟しておらず、背が低くて歯ブラシが届きにくいうえ、乳歯と永久歯が入り混じって段差だらけになります。磨き残しが増えるのは当然のことで、お子様の努力不足ではありません。

当院では、唾液検査の結果をもとに、なぜむし歯になりやすいのかというリスクを一人ひとり評価し、その子に合わせた予防プログラムをつくるMTM(メディカルトリートメントモデル)を導入しています。矯正を進めながら同時にむし歯を防いでいくことが、「歯を悪くしない」という当院の診療方針の中心にあります。せっかく歯並びを整えても、その歯がむし歯になってしまっては意味がないからです。

>>予防歯科の詳細はこちら

完全個室での無料カウンセリング

矯正治療については無料のカウンセリングを行っています。完全個室のカウンセリングルームで、専任のカウンセラーがまずお話をうかがいますので、先生には少し聞きづらいと感じられることも遠慮なくお話しいただけます。

「治療を受けるかどうかはまだ決めていないけれど、抜いたほうがいいのか様子を見てよいのかだけ知りたい」という段階のご相談でもまったく問題ありません。神戸市垂水区の星が丘にあり、土曜日は矯正治療のみの診療を行っておりますので、平日の通院が難しいご家庭にもご利用いただいています。

乳歯が抜けないことについてよくあるご質問

ここまでで触れきれなかったご質問に、簡潔にお答えします。

Q. 乳歯がグラグラして半年経ちますが、放っておいて大丈夫ですか

揺れていること自体は、乳歯の根が溶けて生え変わりが進んでいる証拠ですので、基本的には心配いりません。ただし半年以上ほとんど変化がない場合は、根の一部だけが吸収されずに残っていることがありますので、一度確認しておくことをおすすめします。食事のときに痛がる、歯ぐきが腫れているといった様子があれば、早めにご相談ください。

Q. 乳歯が抜けないのに永久歯が内側から生えてきました。歯並びは悪くなりますか

下の前歯であれば、乳歯が抜けたあとに舌の力で前方へ移動し、自然に整っていくことが多くあります。ただしこれは、乳歯がきちんと抜けることと、舌が正しい位置ではたらいていることが前提です。乳歯が残り続ける場合や、口がいつも開いていて舌が下に落ちている場合は整いにくくなりますので、経過を見ながら判断していきます。

Q. 乳歯を抜けば、永久歯はまっすぐ生えてきますか

必ずしもそうとは限りません。永久歯がどの方向に出てくるかは、もともとの歯の卵の位置と、並ぶための場所が足りているかで決まります。乳歯というふたを取り除いても、向きそのものは変わらないことがあります。抜歯が有効な場面もありますが、その判断はレントゲンで下の状態を確かめてから行う必要があります。

Q. 小さい頃に転んで前歯をぶつけました。生え変わりに関係しますか

関係する場合があります。乳歯の外傷は、そのすぐ下で育っている永久歯の卵に影響を与えることがあり、萌出の遅れや歯の形の異常につながることが知られています。永久歯の萌出遅延の原因を調べた調査でも、先行する乳歯の外傷が原因のひとつとして挙げられています。受診の際には、いつ頃どのようにぶつけたかをお伝えいただけると助かります。

Q. 永久歯が生まれつきない場合、矯正治療に保険は使えますか

6歯以上の先天性部分無歯症と診断された場合には、公的医療保険の対象となる場合があります。ただし、この治療を保険で行えるのは施設基準の届出を行った医療機関に限られます。該当が疑われる場合には、まず診断で本数と部位を確認したうえで、連携先のご案内を含めてご説明しますので、一度ご相談ください。

Q. 乳歯がなかなか抜けない子は、歯並びが悪くなりやすいのでしょうか

「抜けないこと」そのものよりも、その背景に何があるかで見通しが変わります。永久歯の育ちがゆっくりなだけであれば、歯並びへの影響はほとんどありません。一方、生えるためのスペースが足りていないことが原因であれば、そのままでは重なりが出てくる可能性が高くなります。原因がわかれば必要な対応も決まりますので、不安を抱えたまま様子を見るよりも、一度確かめておくほうが安心につながります。

まとめ:お子様の乳歯が抜けない場合は一度ご相談ください

まとめ:お子様の乳歯が抜けない場合は一度ご相談ください

まとめとして、このコラムでお伝えしてきたことを振り返ります。乳歯の生え変わりの時期には1年半以上の幅があり、同級生より遅いこと自体は珍しいことではありません。ですから「うちの子だけ遅れている」と比べて不安になる必要はありません。

一方で、「抜けない」の背景には、待てば解決するものと、待つほど選択肢が減っていくものがあります。永久歯の育ちがゆっくりなだけなら時間が解決してくれますが、生える場所が足りない、通り道に過剰歯がある、隣の歯の根が溶かされているといった場合には、待っているあいだに状況が進んでしまいます。その見分けは年齢では判断できず、永久歯の根がどこまでできているか、乳歯の根が溶けはじめているか、生えるためのすき間が足りているかという3つのサインで確認できます。

そして、最も取り返しにくいのは、顎の骨を土台から広げられる成長期という時間です。歯並びは大人になってからでも整えられますが、上顎の幅を自然な形で育てられる時期は限られています。生え変わりの心配ごとは、お子様の口の中に問題が表面化してくる時期であると同時に、最も負担の少ない方法でそれを整えられる時期が来ているというお知らせでもあります。

当院では、完全個室のカウンセリングルームで矯正の無料相談を行っています。「抜いたほうがいいのか、様子を見ていいのかを知りたい」という段階でも、他院で治療中の方のセカンドオピニオンでも構いません。お子様の生え変わりが気になっている神戸市垂水区周辺の保護者の方は、どうぞお気軽にご相談ください。お一人で悩まれる時間が、少しでも短くなればと思っています。

【執筆・監修者】
定政克典院長
垂水さだまさ歯科・矯正歯科 院長

定政 克典

  • インビザラインドクター
  • 顎咬合学会(咬み合わせ認定医)
  • 国際口腔インプラント学会(ICOI認定医)